写真家ギィ・ルメールの「Lust and Pain」を見た。
ギィ・ルメール(Guy Lemaire)はベルギー出身の写真家
今まで何冊かの写真集を発表しているが、
ほとんどが限定版であり現在入手できない。
唯一現在手に入るのがこの「Lust and Pain(欲望と苦痛)」だ。
さっそくページを開いてみると・・・
見てはいけない儀式を覗いてしまったかのような強い禁忌感が襲う。
写真は全てがモノクロで、
陰鬱なトーンの中に白い裸体が浮かび上がる。
拘束され、吊るされ、無数の針を刺され、
極限まで歪められ、引き伸ばされ、責め苛まれる姿。
モノクロの写真の表面には、
鋭い刃で引っ掻いたような傷と、
溢れ出た血糊を思わせる染みとが施されている。
そうしたノイズめいた不協和音と相まって、
まさにその秘密の儀式の最中に写し取られたような
異様な臨場感が醸し出されている。
序文には I am not a victim, I am the Sacrifice という一文が見える。
私はvictimではない、私はsacrificeである・・・
どちらも「犠牲、生贄」であるが、
victimは他者によって犠牲を強いられたもの、
sacrificeは自ら生贄となることを選んだもの。
これらの写真で責められるsacrificeたちはみな、
恍惚とした忘我の表情を浮かべているのである。
*この写真集「Lust and Pain」は、相馬俊樹氏の「禁断異系の美術館1」でも
紹介されている。
amazonでも購入可能。
- 2009/06/24(水) 23:27:22|
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